スペシャル企画

いつでも、どこでも、
だれにでも、何をつかっても

― はじめての花器とこれからの草月流 ―

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いけばな草月流の考え方に、「いつでも、どこでも、だれにでも、何をつかっても」というものがあります。創流者勅使河原蒼風は、花がないところでなにをいけるかとの問いに、土をいけると答えたそうです。いけばなを古くから続く、変わらないものと思っている人も多いかもしれませんが、草月流はそこにあたらしい風を吹かせてきました。
今回、ファッションデザイナーにテキスタイルデザイナー、アートディレクター、電子工作ユニットの4名が、新しい花器を提案。草月流のこれからを担う若手作家たちが、その花器に思い思いの花をいけました。新しい感性同士の出会いが生み出した花のかたち。

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Nukeme × 濱田成光

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Nukeme×濱田成光

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Nukeme×濱田成光

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Nukeme×濱田成光

Nukeme
「ISE(タブレット)」「TAN(スマートフォン)」

花をいけられるものが花器であると定義するなら、見た目と機能を分離してもよいのではと考えました。描き換え可能で厚みのない花瓶のように見えるもの。いけばなの一回性と対照的です。花瓶のグラフィックは、伊勢丹のロゴをイメージトレースしてベジェ化し、土をこねるように自由に変形させて成形しました。インターネットで類似画像検索をすると似た形の器が出てきます。花器であることの根拠をインターネットに委ねた作品です。
プロフィール
1986年生まれ。ファッションデザイナー/アーティスト/Semitransparent Designプログラマ見習い/IDPW正会員。ミシンの作動データにグリッチを発生させる『グリッチ刺繍』が2012年に第16回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選出。同作品でARS ELECTRONICA 2013に出展、作品展示とワークショップを行った。16年にはハトラとの新レーベル「Okay」を立ち上げた。
http://Nukeme.nu/

濱田成光
「まんさく/ダリア(タブレット)」
「旅人の木(実)/キウイ(蔓)(スマートフォン)」

平面のタブレットを器にするという初めての体験にワクワクしました。画の曲線になまめかしさを感じ、いかすことを考えて枝ものに。春の初めに“まず咲く”に由来するまんさくを使って、花器を取り込みながらダンスをするようにためて(曲げて)います。スマートフォンは、花器の青色をいかしつつ、70年に一度咲くという植物の神秘と驚きのある旅人の木の実を使用。晒したキウイの蔓は自然なうねりをいかして、晴れ晴れしさを出しました。
プロフィール
個性豊かな草花と力強い枝の花木の組み合わせで、新たなひとつの世界を作り出すことを得意とするアーティスト。『いけばなアトリエ成光』を主宰。ギャラリーの迎え花やレストラン装花を通していけばなの魅力を伝えている。第95回 草月いけばな展新人賞受賞。

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YUKI FUJISAWA × 久保田芳生

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YUKI FUJISAWA×久保田芳生

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YUKI FUJISAWA×久保田芳生

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YUKI FUJISAWA×久保田芳生

YUKI FUJISAWA
「重ね」

今回の花材であるスイートピーの写真を布にプリントし、レイヤーとして積層させています。チュールで隔てられたレイヤーとしてのスイートピーの画と、その間にいけられるいけばなのスイートピー。本物の花と刷られた花の境界を曖昧で一体となるようなものとして考えました。
プロフィール
テキスタイルデザイン、プロダクトレーベル。手作業の染色による一点物のファッションプロダクトを始め、デザインディレクションや広告など幅広く活動。
http://yuki-fujisawa.com/

久保田芳生
「スイートピー」

チュールの層とのコラボレーションを考えた時、柔らかな布の質感と藤澤さんの普段の作品性、花々祭の華やかさを大事にすることを考えてつくりました。チュールという柔らかい素材に対する時、柔らかくて儚げな花であるスイートピーがふさわしいと考えました。スイートピーは茎にワイヤーを通すことができるため、自由な線の造形がつくれることをいかして、風が吹いたような線をつくりました。
プロフィール
1985年、草月流入門(細川芳永師範に師事)。HOUSEI IKEBANA CLASS主催、学校いけばな講師。各種店舗・イベント装花、異文化とのコレボレーション等、植物を通して心を伝える活動を続けている。第85回草月いけばな展新人賞受賞。2012年・2016年、草月AT賞受賞。

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千原徹也 × 伊藤佑飛

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千原徹也×伊藤佑飛

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千原徹也×伊藤佑飛

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千原徹也×伊藤佑飛

千原徹也
「L👁(eye)FE」

社名である「れもんらいふ」の「らいふ(LIFE)」を花器として立体化。普段ライブペイントで描いているキャンバスアートのモチーフのひとつでもあり、LIFEの“I”を“👁(eye=目)”のモチーフに置き換え、デザインという視覚的コミュニケーションを表しています。グラフィックデザインなど、平面を媒体とした作品が多いれもんらいふが、その思考回路を展開して平面から立体を立ち上げました。ガラスなどの器を置いて使用することもできるようになっています。
プロフィール
アートディレクター。1975年京都府生まれ。デザインオフィス「株式会社れもんらいふ」代表。広告やファッションブランディング、音楽、装丁、雑誌エディトリアル、WEB、映像など、デザインするジャンルは様々。近作に、Zoffの広告や雑誌「装苑」の表紙、adidas Orignalsの店舗ブランディングなど。アーティストやラジオパーソナリティなど、活動の幅を広げている。
http://www.lemonlife.jp

伊藤佑飛
「竹」

花々祭の今年のテーマが「力の目覚め」、花器が「LIFE」という壮大なものでしたが、私にとって生きる力になった出来事で強く記憶に残っているのは、涙を流した時のことかもしれません。古くから竹の節に溜まった水は、生長力の源といわれてきました。水を使わず水を表現する手法を使い、竹の節から涙が溢れ、喜びや悲しみが涙とともに昇華していくさまを、上昇する流れで表しています。
プロフィール
石川県七尾市出身。草月アトリエ制作部所属。いけばなクルーズナビゲーター。伊藤宵波・石川龍師範に師事。テレビ番組・イベントスペースの装花や、インドなど海外でのデモンストレーション・ワークショップ・作品展示などを通じて「花鋏一挺で世界をつなぐ」いけばなの可能性を探究中。第95回 草月いけばな展 新人賞受賞。
http://www.chijimaru.com/profile/369

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ギャル電 × 御手洗直己

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ギャル電×御手洗直己

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ギャル電×御手洗直己

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ギャル電×御手洗直己

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ギャル電×御手洗直己

ギャル電
「爆アゲギャル門松」

ストリートで展開するギャル門松は、電飾でパリピの神を降ろす光の渦である。元々三角の形が大好きだったカラーコーンを、もっとアゲた存在へと誘うべく製作。カラーコーンを光らすとめっちゃ楽しくて、めっちゃ目出度くなるということも判明した。下に描いた魔法陣は、電子工作の記号と用語(GND / DIN / PWR / ダイオード / ±)で構成されている。魔術なのかエレクトロニクスなのか、マジやべえ。
プロフィール
ギャルが電子工作する時代。ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案していくユニット。ドン・キホーテでアルドゥィーノが買える未来を夢見ている。
https://twitter.com/galden999

御手洗直己
「桜・しもくれん・チューリップ・ガーベラ」

ギャル電さんのド派手にデコレーションされたカラーコーン花器と魔法陣の作品資料を見たとき、ワクワク感とギラギラとした念のようなものを感じました。対して私は春に咲く花木である桜、もくれんをつかい、色とりどりのチューリップ、ガーベラを花木に直接飾りつけ、春に咲く新種の花木を誕生させました。
プロフィール
草月アトリエ制作部所属。20歳で草月流入門、カナダ留学を経て草月文化事業株式会社アトリエ制作部に入社。植物の形と、色の深さ、鮮やかさを抱き合わせることによって生まれる可能性に挑戦している。

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